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会員数と利用率に隠されたジムビジネスの儲けのカラクリ|料金が安い24時間営業のスポーツジムが儲かる理由

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スポーツジムの主な収益は会員による月額利用料です。近年は健康意識が全体的に高まっているので、こういったスポーツジムに通っている方も多いと思います。

 

そんなジム業界ですが、近年、業界の中で最も注目されているのが「24時間営業のスポーツジム」という新たなスタイルのジムモデルです。文字通り、24時間営業のスポーツジムです。

 

ただ、この24時間営業スタイルは本当に利用者がいるのでしょうか?利益は上げられるのか?そもそも24時間営業のスポーツジムではどういった事が行われているのでしょうか?

 

 

そこで今回は、そんな24時間営業のスポーツジムについて、儲けのカラクリを交えつつ詳しくご紹介したいと思います。それでは、さっそく見て行きましょう。

 

24時間営業スポーツジムのビジネスモデル

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説明は要らないかもしれませんが、念のために24時間営業のスポーツジムの概要に触れておきましょう。24時間ジムとは、主に筋トレマシン・ランニングマシン・フィットネスバイク等をずらりと並べて、24時間いつでも自由にセルフで使えるトレーニングジムのことです。

 

マシンの種類については、従来のスポーツジムと変わりはなく、単純にスポーツジムを24時間営業にしたものになります。月額固定の会員制で、価格帯は大体月額7,000円前後。従来のジム利用料より2~3割安で会員になることができます。

 

24時間スポーツジムは、最小限のスタッフのみで運営するため、従来のジムのように無料でマシンの使い方を教えてくれるようなスタッフサービスや、豪華な温浴施設などはありません。トレーニングをすること、ユーザーの利便性を追求しており、「安い」「混雑しない」「いつでも開いている」といった特徴をもっています。日本ではここ数年、都市部を中心に大手の直営やフランチャイズ、個人も含めて大量出店している比較的新しい業態と言えます。

 

スポーツジムの商圏参加率と会員数

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24時間ジムは、商圏ビジネスと呼ばれています。1㎞商圏1万5千人というのが出店の目安とされていますが、ちょっと耳慣れない用語ですので、詳しく説明します(以下、出てくる数値はあくまで標準モデルを分かりやすく示したものです)

 

「1㎞商圏1万5千人」というのは、ジムを中心に半径1㎞の円内に住んでいる(または働いている)人の数のことです。24時間ジムでは1㎞圏内で1万5千人というのが目安と言われています。イメージしやすいコンビニで言うと、500m圏内で3千人と言われています。500mというとおおむね徒歩10分、自転車で5分。それ以上遠いと『近くにコンビニがない』と思われてしまう事になります。24時間ジムだと1㎞圏内にないと『近くにジムがない』と言われてしまうということです。

 

次に「商圏参加率」を見てみましょう。「商圏参加率」とは、24時間ジムに参加(会員)している人数をその商圏内に住んでいる人口で割ったものです。数式で表すならば、

 

数式:24時間ジム会員人数÷商圏内人口=「商圏参加率」

  

となります。例えば、入会人数が100人として、商圏内人口が1万人という場合、数式:100÷10,000=0.01(1%)「商圏参加率」は1%ということになります。1%は分かりやすくするための例であって、実際には全国的に見てみるとライバル店が乱立しているような場所は例外として、24時間ジムの「商圏参加率」は3%とされています。 

 

スポーツジム1店舗当たりの会員数

つまり、商圏人口に「商圏参加率」の3%をかけると24時間ジムの参加数(会員数)がわかってくるということです。上記の計算例だと、1万5千人×3%となります。計算すると、

 

数式:15,000×0.03(3%)=450人

 

そう、商圏人口が1万5千人いれば約450人が24時間ジムの会員数ということがわかります。どうでしょうか?『450人もいるの?思ったより多い』と感じる方が大半ではないでしょうか。それは『450人も会員がいるのに、前行ったとき、ジムを使っている会員は自分を含めて2人だったぞ』というような印象をお持ちだからではないでしょうか。そのイメージギャップに実はジムビジネスが大儲けできるカラクリが隠されているのです。

 

ジムビジネスが儲かる理由「ジム利用率」

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スポーツジムに入会したことがある人はよくご存じだと思いますが、入会する時は意気込んで通っても、1ヶ月、2ヶ月と経つにつれだんだんと足が遠のきます。それはあなただけではありません。理由はそれぞれでしょうが、残念ながら一部のヘビーユーザーを除いてほとんどすべての人がそうなります。実際、24時間ジムの「ジム利用率」はだいたい15%に留まる傾向にあるのです。

 

ちなみに、先ほどの会員数450人に「ジム利用率」15%をかけると、数式:450×0.15(15%)=67.5人(1日当たりジム利用者数)ということになります。さらに、それを24時間で割ると、数式:67.5÷24=2.8人(1時間当たりジム利用者数)1時間当たり2.8人しかジムを使っていない計算になります。そう考えてみるとガラガラなのもよくわかりますよね。

 

会員数と利用率に隠された儲けのカラクリ

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では、ここからはこれまでのデータを元に24時間ジムの利益構造を見てみましょう。

 

◇売上:会員数450人×月会費7,000円=315万円(月)/3,780万円(年)

◇原価:賃料・マシンリース料・広告宣伝費・水光熱費・人件費・システム費 

◇利益率:5%*原価計算が煩雑になるので、ここでは、利益率5%と見ます。

◇利益:189万円(年)

 

という利益構造になります。利益率5%ではボロ儲け。には遠い感じがしますが、24時間ジムの美味しいところはここからです。上記の原価は、基本的に会員数が増えようが、ジム利用数(率)が増えようがほとんど変わることがありません。損益分岐点を超えて以降の会員数の上積みは原価がかからない売上=利益というボロ儲けモードになるのです。

 

仮に毎月の会員数を450人から460人へと10人上積み出来たら、数式:会員数10人×月会費7,000円=7万円(月)、84万円(年)利益率が7%台になります。商圏次第では会員数10人や20人の上積みというのはそんなに難しくありませんし、実際に、繁盛店などでは会員500人どころか600人や700人というところも珍しくないのです。

 

まとめ

24時間ジムは標準的に1㎞圏内から450人の会員を集めて、5%の利益率で運用していますが、損益分岐点を超えている状態であれば商圏や努力でほんの少し会員数を上積みするだけで、原価のかからない売上=利益という夢のような図式が描けるビジネスモデルなのです。

 

飲食店や小売店でしたら、繁盛店になればなるほど仕入れや人件費が増えるのに加えて混雑感から客足が遠のくことがしばしばあります。ですが、24時間ジムは繁盛店であっても、平日夜のピークタイムで1時間当たり10名程度の利用しかありませんので、混雑感による客足が遠のくことも無縁となっています。そう考えると、町にジムがどんどんできる理由がわかってくるのではないでしょうか…