最近、ヨガ流行りもあって、ヨガ講師(インストラクター)の資格取得をする人が多くなっています。そのため、ヨガインストラクターの資格取得をサポートする養成スクールも多くなっています。あなたの周りにもヨガにハマっちゃってヨガインストラクターの資格を取っちゃったという方もいるかと思います。
では一体ヨガにはどんな資格があるのでしょうか?
今回は、そんなヨガの資格や講師(インストラクター)養成スクールについてお話してみようと思います。
業界の裏話やヨガ講師(インストラクター)になる為に必要な事前知識なども合わせてご紹介致しておりますので、講師を目指す皆様も是非ご覧下さい。それでは見て行きましょう。
ヨガ講師の資格について
まず、日本でヨガを教えるのに資格は要りません。ただし、スポーツジムやヨガスタジオでレッスンをするにあたってはなんらかのヨガ講師の資格取得を義務付けているところがほとんどです。
もしヨガを受講しているならほとんどの講師が資格を持っているはずですので、一度聞いてみてください。すると講師は以下のいずれかの資格を持っているはずです。
・全米ヨガアライアンス認定資格(RYT200)
・全日本ヨガ協会認定資格
・日本ヨガインストラクター協会認定資格
※他にも、日本での取得者はまだまだ少ないようですが、ヨガにハマった有名タレントさんが取得して有名になった「インド中央政府公認ヨガインストラクター」という難関資格もあります。
日本では各種団体がヨガ講師の資格を独自に認定する仕組みになっており、そもそもヨガの関連団体が一本化していない為、このような様々な資格が存在する状態になっています。実際、上に挙げた資格以外のヨガ講師資格を持っている先生もいることでしょう。
今挙げたような資格を持っていないとヨガを教えられないかというとそうでもないことは冒頭にお話した通りです。ヨガ講師の資格は日本ではあくまで任意のものですので、無資格で教えたとしてもなんら罰則はありません。むしろ、1970年代の第1次ヨガブームのころからの指導者は「RYT」など存在しなかったころから講師をしていたり、自分で団体を作って任意資格を認定していたりするくらいです。
ヨガ講師資格「RYT200」を取得するには
この10年くらいでヨガ講師の資格を取得した先生のほとんどは全米ヨガアライアンス認定資格(以下、RYT200)を持っていると思われます。
全米ヨガアライアンスとは文字通り、アメリカに本部があるヨガアライアンス協会が認定する資格で、協会が認定する認定校でガイドラインを満たしたスクールの受講生に付与される講師資格です。
現在の日本でヨガ講師資格の主流と言えば間違いなくこの「RYT200」です。ちなみに、全米ヨガアライアンス認定校はアメリカや日本だけでなく、世界70か国以上6,000校もあるそうです。
RYT200の「200」というのは授業時間のことで、実技と座学で200時間の受講をするというものです。RYTには500時間の受講を要する資格や指導経験を積んだうえで取得できるそれらの上位資格もあります。RYT200を取得するには、期間は3ヶ月、日本円での費用は約30万円が相場となります。最近はオンライン受講のみでOK(特別措置)だったり、合宿で半月程で修了できるスクールもあります。
印象としては、どんどんヨガ講師の資格取得が身近で簡単、安価なものになってきていますし、養成スクールは乱立傾向が続いています。
ここで勘の良い方は気づくかもしれません。「ヨガの講師って3ヶ月のスクールで資格取得できるの?」と。合宿スクールで半月というのは極端な例だとしても、3ヶ月で講師に成れる資格を取得できるのは、案外イージーです。
もちろん、資格を取得したからと言って、すぐに人前でレッスンデビューするわけではなく、ヨガスタジオなどで公募しているオーディションに合格しないとデビューとはなりませんが、それにしても他の講師業と比べると容易に講師に成れ、容易にレッスンできるのがヨガ講師という世界なのです。
ヨガ講師養成スクールが増える理由
ではなぜ、そのように資格を取る人が増え、資格を取得できるスクールが乱立とも言えるくらいに増えてきているのでしょうか。この当たりにヨガ業界の抱える闇が潜んでいます。
大きな健全な理由としては、日本のヨガ人口が増えてきている(マーケット拡大)からです。一説には日本のヨガ人口は1,000万人を超えているとも言われ、日本でヨガを教える教室は大小合わせてなんと7,000以上もあります。
あの大手ハンバーガーチェーンでさえ国内3,000店くらいですので、ヨガのマーケットの大きさが分かろうというものです。となると、必然的に講師の需要も増えてきます。これが、ヨガ講師養成スクールが増える理由(オモテ)です。
では、今度はウラの理由についてお話ししましょう。
ヨガ講師養成スクールが増える理由(ウラ)は、ずばり、『生徒に教えるより講師になりたい人に教えるほうが儲かる』からなのです。先ほどRYT200の取得費用が相場30万円ということをお話しましたが、普通に生徒さんに教室で教え時と比べて圧倒的に単価が高いのです。
ヨガ教室に通うとなったら1ヶ月1万円くらいを生徒が払うかと思われますので、1人の生徒さんから30万円を払ってもらおうとすると2年半かかる計算になります。ところがRYT200なら3ヶ月。短ければ半月。同じ30万円を得ようとするならば、講師になりたい人に教えるほうが断然効率が良いですよね。
また、ヨガが好きだから稼げなくてもいいからとりあえず講師資格を取得したい、ヨガを深く学ぶために資格取得をしたいという方も少なからずいます。
そういったヨガ愛好家の需要があることもあって、ヨガ講師になっても稼げないことが分かっているのにどんどん講師を養成するヨガ講師ビジネスが生まれています。さらに、講師養成ビジネスが乱立する理由として、稼げない講師の稼ぎ口を作るために必要という理由もあり、考えれば考えるほどヨガ業界の闇の悪循環となっています。
ヨガ講師(インストラクター)は稼げない
また、もう一つヨガ講師養成スクールが増える裏の理由があります。それは、効率だけの問題ではなく、そもそも講師になって生徒を抱えても大して稼げないということです。これはマーケットの拡大と矛盾するようですが、ヨガ講師は一部の大物や有名講師を除いてあまり稼げる職業ではありません。
その理由としてレッスン単価が高くない事、1日のうちに多くて2、3本しかレッスンをできないことが挙げられます。自前のスタジオ持っていれば単価も決められますし、本数も朝から晩まで自分でやりたいだけできますが、日本でヨガ講師になった場合、主戦場はヨガスタジオやフィットネスクラブでの業務受託になりますので、やむを得ないところです。その為、ヨガ講師としての収入だけで生活できる人はごくごく一握りとなります。
今後のヨガ業界はどうなるのか
一般的にビジネス上の資格とは、「技能を高める」「技能の平準化による信頼性向上」「参入障壁の構築」こういったことを担保するためなのですが、ヨガ講師業界はお話してきたように、歪な構図になってしまっています。これに似た業界に「柔道整復師(整骨院・接骨院)」業界があります。
以前は、柔道整復師養成校は「柔道整復師」の数をむやみに増やして過当競争に陥らないように規制していたのにその規制を外した途端、先を争うように「柔道整復師養成」校が増え、結果的に「柔道整復師」の数が増え過ぎってしまったという事例があります。言う間でもなく「柔道整復師養成」の方が、整骨院に来る患者相手のビジネスよりも儲かるからですね。
「柔道整復師」が増え過ぎた今、昔より明らかに整骨院が増えたので、患者としてはカジュアルに整骨院を選んだり通ったりできるようになって喜ばしい面もありますが、廃業・閉店の整骨院が増えてきていることもあるので、手放しで喜ぶことはできません。
数が多すぎるとマーケットによる淘汰が始まる。それはヨガ講師も同じです。淘汰されるほど、もともと稼げていないというケースも多数見受けられますので、資格を取ったその瞬間にも淘汰されているという厳しい時代にヨガ業界は置かれているのです。
まとめ
ヨガの参加人数などマーケットは伸びていて日本では1,000万人が参加するマーケットに成長しています。それに併せてヨガ講師も増加しています。そのほとんどはRYT200という全米ヨガアライアンスの認定資格取得者です。
でも、講師になっても、その瞬間に淘汰されてしまうくらいに稼げないことがほとんどで、だから稼ぐために講師養成コースを増やして、効率よく稼いでいます(そうせざるを得ない)。そこが知られざるヨガ業界の深い闇となっているというお話でした。ヨガマーケットは拡大しているので、なんとももったいない話ですが、なかなか抜けられないのがこのヨガ業界です。