クレーンゲーム、プリクラ、メダルゲーム等が揃うゲームセンター。最近では親子で遊べる施設や飲食を併設するなど様々な進化を遂げてきました。昨今のコロナ禍でつぶれているお店も多い中、生き残っている店舗はどうやって儲けをあげているのでしょうか。
今回は、そんなをゲームセンター業界の儲けのカラクリをご紹介致します。当時、月商3,000万規模の店舗で店長をしていた私が体験談を元にご説明していきます。
ゲームセンター業界とは
家庭用ゲームでは体験できないリアルの場として「遊び場」を提供する施設を運営する業界がゲームセンター業界となります。最近ではゲームだけでは食べていけない企業が、VRゲームやトランポリン施設を運営するなど、あらゆる手を使って生き残ろうと必死に頑張っています。ではどのように利益を上げているのか具体的に見て行きましょう。
ゲームセンターの利益の出し方
まず一般的なゲームセンターの売上構成比率は以下となります。
・クレーンゲーム 70%
・メダルゲーム 15%
・ビデオゲーム 10%
・プリクラ機 5%
ゲームセンターに入ったときに注目してみてほしいのですが、実際の面積もこれくらいだったりすることが多いです。では次にそれぞれの儲けのカラクリについて説明していきます。
クレーンゲームの儲けについて
クレーンゲームで使える景品は風営法で決まっており、一般小売価格の800円以下と決められています。これを大体のオペレーターは原価率15~20%で客が取れるようにクレーンゲームの設定を行います。
ただ、この設定はクレーンゲーム全体での原価率になるため実際には商品によって大きくぶれます。特に店頭に置いてあるバラのお菓子の山積みなどは原価率50%程度で運営することが多いです。客寄せパンダみたいなものですね。
一方でオタク系のフィギュア、ぬいぐるみなどは相当渋く運営することが多いです。1個800円のぬいぐるみを4~5,000円でとれるように設定している店が多いです(1個の景品で利益が数千円とれる計算)
3本爪のクレーンゲームは基本的に一定の確率でパワーが強くなるように設定していますがそれが10回~15回に1回しか来ません。しかもこのタイミングで景品をつかむのに失敗するとまたこの確率を待たないといけません。
何よりいやらしいのは上に持ち上げるまではアームの力が入るため「なんとなく取れそうな気がする!」という雰囲気をだしてもう1回、2回と遊ばせることが多いです。
結果的に5~6回やって取れなかった場合にあきらめる人が多いわけです。(ちなみに映画の半券などで1プレイサービスできるお店もありますが、これ系の台は選んじゃだめです。激渋設定になっています)
2本爪のクレーンゲーム(一般的にUFOキャッチャーと呼ばれるもの)これは店舗側の景品設定担当者の腕次第で難易度がいくらでも変えることができます。下手な店舗だと最初に書いた原価率を守れなかったり、安い値段でありったけ景品を持っていかれるなんてことが多々あります。
なのでだいたいのお店は、パワーを最弱に設定しています。(ただ、アームのパワーが弱くてもアームが下がるときの力は変わらないため景品を上から突くことで案外景品が取れたりします)
とにかくゲームセンターの利益はクレーンゲームでほぼ賄っています。だからあんなに景品が取れないのですね。
ただ5~6回遊んでもなにも取れなかったという残念な気持ちを解消すべく、大手オペレーターは500円投入でキャラクターのクリアファイルプレゼントなどを行い「景品は取れなかったけどグッズはもらえたからいいか」と客が怒るリスクを減らしているという訳です。
どうしても景品が欲しい場合
ゲームセンターの景品がどうしても欲しい場合の裏ワザはメルカリなどで買うことです。正直これが一番安く確実です。原価800円のフィギュアにプレミア価格が付いていなければだいたい1,500~2,000円くらいで買うことができます。
どんな景品でも設定ミスをする店舗、なぜか需要はあるのに売れ残ってしまいサービス品として安い値段で提供してしまう店舗が全国にあります。そういった景品がメルカリに出ています。世知辛いですがこれが現実です。
メダルゲームの儲けについて
メダルゲームは基本的に機械代が高額です。大型のメダルゲームは数千万単位でお店は購入しています。この機械代を回収するために基本的に客は負けるように設定されています。メダルゲームにはパチスロの機械割のようにペイアウト率をコントロールする機能があります。
例えば、ペイアウト率を90%に設定した場合、メダルを100枚入れると理論上90枚戻ってくるようになります。そんな中でジャックポットが出て数千枚の払い出しが発生した場合はどうなるか。しばらく100枚入れても6~70枚くらいしか出てこない激渋モードに変わります。
怖いですね…。逆に古い台が多いお店は機械代を回収している場合が多くメダルを貸し出した分だけ利益が出るのでペイアウト率も95%にするなど甘めに設定していることが多いです(それでも100%以上には絶対しないんですけどね…)
プリント機(プリクラ機)の儲けについて
プリクラ機は基本的には儲かりません。現在のプリクラ機は某社がシェア9割を占めるほぼ独占状態になっています。1プレイはだいたい400円。原価としてシール用紙代、電気代を入れるとお店の儲けは1割程度しかありません。
そして何より新しいソフトの入れ替えが頻繁に起こります。女子高生達はとにかく新しい機種を好みます。
そのため古い機種は人が多いお店で妥協して使うことが多いです。これが3~4か月スパンで発生し改造費は1~200万円程度。やっとソフト代を回収できたと思った頃には新しい機種が出てきます。恐ろしい程計算されたメーカー市場となっているのです。
ゲームセンターのスタッフ採用について
基本的にオタク向けの業界ですが、実際店舗で採用するアルバイトは若くて元気のある男女しか採用しません。めっちゃ顔とスタイルで採用します。理由は簡単。湿気たおじさん店員に接客してもらうよりも若い子に接客をしてもらったほうが客ウケがいいからですね。
大手オペレーターのおじさん店員のほとんどは社員です。何かクレームがあったときに責任者っぽい人も出さないといけませんからね。(ただの物販ではないためクレームが多いです。お客に感謝されることなんてめったにありません)ただ私が過去にあった出来事として若い男ばかりいた職場に若い女の子を何人か採用したところ社内恋愛が発生し、しかも昼ドラもびっくりな展開が起きたこともありました。
社員として働く場合は相応の覚悟をもって入ってきてください。なおアルバイトとして入る場合は同じような趣味を持つ仲間が大勢いるので大学のサークル感覚で楽しくお仕事ができると思います。
まとめ
楽しそうな雰囲気を出しているゲームセンターは利益が出しにくい業界です。クレーンゲームは1回100円ですがこの中に消費税も入っているからです。消費税が上がるたびにゲームセンターは利益を大きく下げてきました。
昔はゲームセンターでしか遊べないクオリティーのゲームもありましたが、家庭用ゲームやスマホゲームのクオリティーが上がるにつれ、ゲームセンターのゲームの優位性もなくなってきた気がしています。