「春から大学生」「心機一転社会人」「在宅ワークを機に住み心地のいいお部屋に住みたい」そんな声が聞こえる2月、3月。お部屋探しをする人は必ず避けて通れないのが不動産屋さん。お部屋を借りる時はワクワクしますが、いざ初期費用の見積もりを出してもらうと「こんなに?」って驚愕した経験もある方も多いでしょう。
なぜこんなに高額な初期費用がかかるのか。実は不動産屋は何も知らない素人の足元を見ています。不動産屋の言いなりになって妥協しないためにも、しっかり知識を身に着けて1円でも安くいいお部屋を借りるよう賢い消費者になりましょう。
今回は、不動産屋で損をしないお部屋の借り方、賃貸する前に最低限身につけておいてほしい事前知識をいくつかご紹介したいと思います。それではそっそく見て行きましょう。
不動産賃貸会社の利益について
不動産の賃貸は仕入れなど元手が必要にならないため、主な収益は借主と貸主からの仲介手数料が柱となります。この仲介手数料は宅建業法で双方から賃料の1ヶ月分プラス消費税分までと定められており、ぼったくり金額を請求することはできません。
また、宅建業法にはないAD(広告手数料)という名目で、仲介手数料とは別に貸主に金銭を請求することが可能です。これは法律逃れスレスレのグレーゾーンともいうべき行為ですが、「AD100%」「AD200%」などといった広告手数料で貸主も早くいい入居者が入ることを期待して業者に依頼しているのです。
つまり、貸主からは広告手数料、借主からは仲介手数料を請求すれば業者は1件の成約によりかなり儲かることになります。その為、顧客の囲い込みや奪い合いは今後も熾烈なものになっていくでしょう。
お部屋を探す前に学ぶべき事
何も知らない客はまず不動産ポータルサイトを見るのではないでしょうか。SUUMOやHOMESなどのポータルサイトには賃料、管理費の他に間取りや駅からの距離やたくさんの写真が掲載しています。そこに意識が行き、初期費用がいくらかかるかざっと見積もりができる人はどのくらいいるのでしょうか。
ポータルサイトには景品表示法で定められた基本事項は漏れなく掲載しなければならない厳密なルールがあります。しかし賃料や管理費などの項目は大きな文字で表示されているにもかかわらず、火災保険料や鍵交換費用などは備考欄に小さく記載されているにすぎません。
24時間サポート料や消毒料などよくわからない名目で費用の幅を持たせて記載されていることも多々ありトラブルの原因にもなっております。特に鍵交換費用はローテーションから新規交換まで幅広く、細かな表記まではしていないケースがほとんどです。
いったい幾らかかるのだろうと不動産業者に問い合わせすると、それからは「見込み客」として扱われ、しつこい営業の対象となってしまいます。ホームページなどで簡単に見積もりができるサイトがあると一番いいのですが、個別の事案になるとより詳しいヒアリングが必要になります。
そのため概算見積り額と差異が発生することも多く、また多くの不動産業者はアナログ志向のためホームページの構築に時間とお金をかけられないという事情もあります。お部屋探しをする前に、ひととおりインターネットなどで何にどのくらいかかるのか調べておく必要があるでしょう。
賃貸時の仲介手数料は値切れる
前述した通り仲介手数料は貸主・借主双方から合わせて1ヶ月分プラス税という話を思い出してください。基本的には双方から0.5か月分ですが、事前に承諾を得ている場合は1ヶ月分請求できるという意味です。つまり承諾なしに1ヶ月分を請求することはできません。
つまり、初期費用の見積もりを出してもらう段階で「仲介手数料が1ヶ月分記載されている」場合は交渉の余地があるということです。賢い人は複数の業者に連絡してどのくらい仲介手数料が安くなるのかを比較検討しています。
うっかり内見の段階で舞い上がり「ここにします!」と勢いづいてそのまま店頭で申込書を書いてしまった方も多いのではないでしょうか。特に2月から3月のお部屋探しハイシーズンはいい物件から決まっていくので営業マンに急かされる場合もあり冷静な判断ができないケースも多々見られます。その申込書を隅々まで熟読しましたか?営業マンに仲介手数料だけでなく不随する費用について説明を受けましたか?
最近は受験で忙しい子どもに代わってお部屋探しをされる親御さんも多く、可愛い我が子のためにと思ってすぐに契約したがる傾向にありますが、業者も商売ですので早く決めてもらうに越したことはないのです。なぜなら内見に伴う時間や移動や人件費を最小に抑えるために、何度も何件も内見を繰り返すようなお客様よりも一発で決めてくれるお客様のほうがありがたいからです。
内見の前に「仲介手数料は半額になりますか?」と聞いてみましょう。交渉に応じないのであれば時間の無駄なので別の業者に行きましょう。そして同じ質問を繰り返すのです。最近は大手チェーン店のほうが柔軟で臨機応変に対応してくれる傾向にあるかもしれません。
たかが仲介手数料されど仲介手数料。物件の金額が高額であるほどその金額は重く圧し掛かります。例として月10万円の物件の仲介手数料に11万円支払うくらいだったら、半額の5.5万円で済む業者に変えるだけで家電や引っ越し費用に充てることができます。面倒臭がらず粘り強くいい業者に巡り会えるように力を尽くしましょう。
高すぎる初期費用は全て「利益」
仲介手数料に注目しましたが、実は賃貸はその他にもたくさんの費用がかかります。入居前に必ず加入しなければならないのが火災保険です。業者の勧めてくる保険は提携している保険会社が多く自分で選択することは素人には難しく、言われたままに契約しているケースが多いのではないでしょうか。
実はどの火災保険に入るのも自由です。少額短期保険など掛金の少ない保険会社も多く補償内容と保険料のバランスが取れた保険に入るのが望ましいです。基本的には火災保険は一番安いもので構いません。リスクとしてはかなり低く最低限の補償内容があれば十分です。
次に鍵交換費用ですが、こちらは不動産管理業者などに発注して鍵のシリンダ交換を行っています。さすがに前の入居者のものを使うのは抵抗がありますよね。最近はローテーションを避け新規交換が主流となっています。
シリンダ交換費用というのは業者の言い値ですので、この値段にもバラつきがあります。シリンダ自体は安く交換作業も素人でもできてしまいます。アルバイトの学生でもコツを覚えれば簡単にできてしまいます。鍵の種類も防犯性の高いディンプルキー以上のものが採用されていますが、業者はこの鍵交換費用という名目でかなりふっかけてくることが多いです。
しかも鍵を紛失した場合は再度鍵交換費用を負担しなければならないルールまで設けているところもあります。こればかりは値切るのは難しいかもしれませんが、あまりにも法外な金額であれば交渉したほうがいいかもしれません。
ワンルームなどの一般的なディンプルキーであれば1万円前後でしょう。特殊で交換が難しい鍵の場合は3万円前後かかることも少なくありません。ローテーションをすすめてくる業者は怠慢で実際交換しないケースもあるので、避けたほうがベターです。
まとめ
お部屋探しは苦労します。苦労した分いいお部屋に巡り合えた時の喜びはひとしおです。できることなら良心的な業者に巡り合いたいですよね。不動産業者もプロですがインターネットが発達した現代社会において事前の情報収集を入念に行うことによって、より安く契約することが可能です。
知識というのは大変役に立つものです。これは不動産業者にかかわらず多くのことを知らないまま損をしている人が多く存在するからです。たとえ不動産屋をハシゴしたとしても仲介会社は選ぶのは自分自身です。不動産屋のいいなりにならないよう、しっかり基本知識を身に着けて賢くお部屋探しを楽しみましょう。ちなみに、不動産業に興味がある場合は、コチラの記事⇒【不動産会社の作り方を徹底解説】で詳しく不動産会社の作り方についてご説明致しております。よろしければ是非参考にどうぞ。