学習塾は基本的に個別指導と集団指導という2種類の異なる指導方法で運営している。では、個別指導と集団指導と違いとはなんでしょうか?そもそも、学習塾ではどんな先生がどんな授業をしているのでしょうか?
今回はそんな学習塾業界の裏側をご紹介していこうと思います。学習塾業界の闇にも触れておりますので、今後の塾選びの参考にして頂ければと思います。それでは、さっそく見ていきましょう。
個別指導塾と集団指導塾の違い
まず、一般的な集団指導塾は、学年別や習熟度別にクラス分けをして、学校と同じように先生一人で授業を行っていきます。対して個別指導塾は生徒一人または二人につき、先生一人が付きっきりとなり「細やかで、丁寧な指導」を売りにしています。
その為、個別指導塾は学校や通常の塾の勉強についていけない子どもや、その保護者に人気があります。ただ個別指導塾は通常の塾に比べて人件費がかかるので、個別指導塾の方が毎月の月謝は高めとなります。
個別指導塾の講師(先生)ってどんな人?
実は、個別指導塾の先生はほとんどがアルバイトの大学生です。一般的な飲食店などのアルバイトより時給も高く、立ち仕事もないため、いつの時代もある程度人気のあるアルバイトなのです。教員免許取得過程を受け、教師志望の学生もいますが半分くらいは普通の大学生が普通のアルバイト感覚でやっています。※ちなみに、最近は一般的なアルバイトの時給も上がりつつあるため、大学生の講師志望者も集まりにくくなっているようです。
個別指導塾の講師(先生)になるには?
個別指導塾の講師(先生)になるには、特に資格は必要ありません。教員免許も必要ありません。一般の大学生で良識があれば基本誰でもなれます。中には、その塾のOBである大学生をアルバイト講師としてリクルートする塾などもあります。
しかも実は特に研修もありません。基本的に教える教材を渡されておしまいです。あとは教える生徒の年齢、わかれば性格や勉強に対する取り組み具合が知らされるだけで、即本番の授業となります。教えるのは小学生・高校生・受験生までと多くの学年にわたります。
個別指導塾の講師に隠された儲かるカラクリ
時給自体は普通の飲食店のアルバイトより高めに設定されています。当時、私の住む地域の〇クドナルドは時給900円でしたが、個別指導塾の講師は1350円でした。クレーマーに怒られることもなく、空調の効いた教室で子ども相手に勉強を教えるだけでこの時給と思われるかもしれませんが、これには裏があります。
たとえ小学1年生の授業と言えど、予習は欠かせません。生徒の学年があがるとともに予習の時間は長くなっていきます。また受験生の授業を受け持つ際には他の学年にはないプレッシャーがあります。この予習はもちろん労働時間外のサービス労働です。
まともな授業を行うためには、授業と同じくらいの時間は最低でも予習をしなくてはいけません。と、なると時給は約半分になります。それなら普通のアルバイトをやった方がよほど稼げますよね。これが個別指導塾の儲かるカラクリです。つまり、大学生のバイトを安く使うことによって、責任を押し付け、人件費を安くあげているのです。
学習塾の費用に隠された儲かる仕組み
さらには、私が勤めていた塾では授業で使うテキストの選定もアルバイトが行っていました。国語・英語・数学・理系科目などの主要科目は塾オリジナルのテキストがありましたが、社会系科目、日本史、世界史などは塾オリジナルのテキストはありませんでした。なので、街の本屋さんの受験対策コーナーでアルバイトの学生が自分で買ってくるのです。(※もちろん代金は経費から出ましたが)
この学習塾の授業で使うオリジナルのテキストについては、かなりの闇があります。詳しくはコチラの記事をご参考にどうぞ。⇒【個別指導塾の費用に隠された儲かる仕組み|個別指導学習塾の教材料金の利益率と原価率】
学習塾のマーケティング方法に隠された秘密
良く受験シーズンになると「〇〇大学:○名合格!!」といったチラシが塾に貼ってあったり、新聞のチラシに書いてあったりしますよね。これにもカラクリがあります。
高校受験の場合は、多くても受験するのは2~3校ですが、大学受験の場合は違います。少なくとも一人5~6校、多い生徒だと10校以上受験します。これはもちろん滑り止めの意味もあるのですが、塾側から受けて欲しいと頼まれることがあるのです。
もちろん実際に行ける学校は1校ですが、受けるのは受験日程が被らない限り何校でも受けることができます。優秀な生徒は有名大学に何校も合格できるので、そのまま塾の実績として残ります。つまりあの○名合格!!は、一人の優秀な生徒が合格数を稼いでいる場合もあるという事です。
個別指導塾と集団指導塾どちらを選ぶべきか
安くはない月謝を払っているのですから塾選びには絶対失敗したくないですよね。実は、大手だから安心ということはありません。現に私が働いていた塾(本記事の参考になった塾)もテレビCMもやっているような大手の塾でした。
なら個人の塾ならいいのか?というと、個人の塾は大手以上に選び方が難しいです。先生との相性や塾の方針、実績等も気になりますよね。塾が本当に子どもに合っているかは、入ってみないとわかりません。個人的に個人の学習塾は相性が合えば最高ですが、相性ぴったりの塾に出会う確率が低すぎるので、あまりおすすめできません。じゃあどうですればいいのでしょうか?
個人的には、やはり大手の集団授業を行う塾をおすすめします。私自身、受験生のときは塾の授業についていけるか不安を抱えつつも、最終的には大手の塾で集団授業を受け、無事に志望校に合格することができました。ひとクラスの人数も学校よりは少ないですし、その塾は生徒の理解度に合わせてクラス編成がされていたので、授業についていけなくなるということもありませんでした。
また、大手集団指導塾だと「チューター」と言って、ひとりにひとりずつ相談役がついてくれるので、勉強以外にも志望校選びの相談などがしやすいです。さらには、大手集団指導塾にはOBが駐在していたため、授業でわからないことがあると1対1で教えてくれるなど個別指導の塾にはない良さがたくさんありました。
大学受験は情報戦です。今自分が全体から見てどのレベルにいるか、これからそのレベルまで目指すか、就職のことを見据えてどんな学部を選ぶか、など多くの情報が必要となります。いくら実績の多い大手の個別指導塾と言えども、生徒数では大手の集団授業を行う塾にはかないません。その点を考えると、やはりトータル的には集団授業を行う塾のお世話になった方がいいかと思います。
まとめ
学習塾のほとんどは、実際の講師がアルバイトの学生であることを公表していません。もちろん講師が生徒に言うことも厳禁とされています。それなのに、チラシには「指導実績豊かな講師陣!」 なんて言葉が並んでいます。これは誇大広告を通りこしているのでは……と思います。
記事の中では、集団授業を行う塾をおススメしましたが、塾選びに悩んだらぜひ「体験授業」に参加してみましょう。授業のわかりやすさはもちろん、スタッフの親切さ、資料室の充実さ、相談に親身になって乗ってくれるかなどもチェックしてみて下さい。塾は新規の学生は欲しいでしょうから、体験授業ではいい顔をしてくるかもしれません。なるべく普段の姿をみるように心がけましょう。
また、周りにその塾に通っている生徒がいればベストです。保護者にその塾の評判(要するに口コミ)を聞いてみて下さい。実際の授業の雰囲気、質問のしやすさなど素の姿を聞いてみましょう。それが自分に合いそうなら入塾を決め、あとはひたすら勉強に励むのみです。塾選びは成長への第一歩です。満足のいく結果がだせるよう、陰ながら応援しています。