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街の印刷屋さんが潰れない理由|今後の印刷業界はネット企業が主流になる

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街で見かける古くてさびれた印刷屋さんがなぜつぶれないのか、疑問に思ったことはありませんが?お客様も入っていないのにどうして長年あるのか不思議ですよね。

 

 

そこで今回は、「なぜ街の印刷屋さんは潰れないかのか?」という疑問に迫ってみたいと思います。それではさっそく見て行きましょう。

 

印刷業界の推移について

戦後の高度成長の波に乗り、印刷業界は急速に発展しました。雑誌が数多く出版され流行をリードし、カラーポスター、カレンダー等の印刷物の需要も高まった時代です。

 

1970年ごろまでは、印刷屋は寝る暇もないほど忙しい花形の職業でした。しかし、右肩上がりの勢いは徐々に落ちてゆき、1990年代には横ばいとなり、2000年代からは下降の一途を辿っています。

 

街の印刷屋さんが潰れない理由

 

店頭にハンコのタワーが置いてあり、中にはカウンターがあり、お客さんが入っている様子もない古い店構えの印刷屋さん。あなたの住む街にもそんな印刷屋さんはありませんか?

 

ハンコ1つ100円ぐらいだし、印刷といってもそこまで高くないだろうし、どうやって儲けているのか不思議ですよね。それでは、印刷屋さんの儲けの謎を解き明かします。

 

まずはじめに、街の印刷屋さんは、店舗はかまえていますが、それはあくまで「ついで」で、店舗での売り上げはほとんど当てにしていないのです。

 

印刷屋の多くは、その実体は「小さな印刷工場」です。印刷物を効率よく運び出すには一階の通りに面した物件がふさわしく、結果として店舗にした方がいいような良質の物件に印刷屋を構えることになります。

 

商売人として、店にした方がいいような場所を閉めているのはもったいないからという理由で店舗も営業している印刷屋が多いのです。気をつけて見てみると、売り上げの望めない店舗営業はしていない印刷屋も多くあります。

 

店舗の売り上げでなく、何で儲けているのかと言えば、ズバリ「法人向けの印刷物」です。個人ではなく、会社組織を相手にすることで、何千何万、時には何十万もの受注ができ、儲けを出すことが可能になるのです。イメージとしては、店の売り上げは、全体の1、2割程度にすぎず、大部分が会社の印刷物から得た利益となります。

 

印刷屋にとってのお客様とは

 

印刷屋にとって利益のかなめとなるのが法人のお客様ですが、注文の数が100枚程度では、個人のお客様と変わりません。印刷業は「枚数」=「儲け」なので、とにかく数多く注文してくれるお客様がありがたい存在です。

 

ここでは、印刷屋にとって、どんな法人、会社がありがたいのか具体例をあげていきます。

 

まず第一に大きな組織であること。人が多ければ多いほど、名刺、年賀状、挨拶状など、すべての印刷物が多く必要になります。人数の少ない優良企業もたくさんありますが、印刷屋にとっては大会社がありがたい会社なのです。

 

第二に、経営が安定していて大らかな社風であることです。経費削減が当たり前の時代ですから、印刷にかかる費用も見直しの対象となります。印刷屋としては、細かいところは見直しをしないで、同じ印刷屋に同じぐらいの印刷物をずっと注文してくれる会社がありがたいのです。

 

第三に、全国組織で人事異動の多い会社です。人事異動があればそのたびに、印刷屋には名刺と挨拶状の注文が舞い込みます。異動する人は大変ですが、印刷屋にとっては異動の多い会社派ありがたいものです。

 

人事異動の増える3月、4月は引っ越し屋さんだけでなく印刷屋にとっても稼ぎとかとなります。以上の三つ全てではなく一つでも満たしていれば、印刷屋にとっては大切にすべきお得意様となります。

 

印刷屋にとってのお得意様は、ホワイト企業と呼ばれるような企業であることが多いです。大きな組織で、経営は安定していて、異動が多い。こう書くと、いかにも優秀な人たちが働いていそうです。実際に街の印刷屋のお得意様は、誰もが名前を知っているような会社や団体であることが多いです。

 

そんな大きな組織と街の小さな印刷屋がつながっているのが不思議ですが、今潰れていない印刷屋の多くは、こうしたお得意様を持っているはずです。たまたま大会社の近くに店を構えていた、先代のおじいさんが野心家で積極的な売り込みをしていた等、いきさつはさまざまですが、縁のあったお得意様を大切にしながら営業を続けているのです。

 

今後の印刷業界はネットが主流

街の印刷屋にとって最大のライバルは新進気鋭のネット企業の台頭です。印刷業界ではすでに取引先の決まっている会社には営業をしないことが慣例となっていますが、それを無視してどんどん飛び込み営業をする新進気鋭の会社が現れました。

 

店舗をかまえずネット注文で格安の印刷をすることが売りの会社です。印刷屋のお得意様の中には、少しでも安く、ということで、このネット企業に乗り換えてしまうお得意様も多くいます。この企業の出現がきっかけで、多くの街の印刷屋が店をたたんだことは想像に難くありません。

 

このネット企業は格安に設定した印刷代のさらに安い価格で、奪ったお得意様の印刷を続けるかどうかの提案さえしてくるようです。ただでさえ印刷は利益が少ない仕事なので、あまりにばからしく頭にも来てこの誘いには乗らない印刷屋が多いようです。

 

まとめ

街の印刷屋がつぶれない背景には、お得意様の存在があることを紹介してきました。とはいえ、そのお得意様もいついなくなってしまうかわかりません。もしお得意様がずっとついてくれていたとしても、紙や印刷に使う溶剤の値上がり、機械の老朽化など、状況は厳しくなる一方です。印刷屋は「印刷をさせてもらっている」という立場なので、材料の値上げがあってもお客様には値上げを言い出せないことが少なくありません。

 

印刷業界には残念ながら、新しい光は見えていません。なぜなら印刷というものは「誰が刷っても同じ」だからです。何十年印刷を続けても、最近印刷を始めた人と仕上がり差はないのです。手書きと違って個人差のない見やすさや美しさがあるのですが、裏を返せば「誰が刷っても同じ」なのです。印刷屋が今後を真剣に考えた場合、お得意様がいてくれるうちに次の道を探すことが最も賢明であると言えるでしょう。

 

反面、これから先、印刷物がまったくゼロになるということも考えにくいです。特に公立の学校ではいまだにプリントで連絡をしますし、紙ベースの印刷物は公的機関ではまだまだ欠かせないものとなっています。印刷業界が苦しい中でも踏みとどまって生き残り、周囲にライバルが少なくなって希少価値が出ることを期待する道もあるかもしれません。