裏話どっとこむ

裏話どっとこむでは、仕事に関する知識や経験談などを多数掲載しております。意外と知らないあの職業の裏側や給料事情。口コミサイトや求人票には載っていない「社員のリアルな口コミ情報」などを掲載致しております。 また本当に稼げる副業情報や独立開業に向けた有益情報なども掲載致しておりますので是非参考にしてみて下さい。

裏話どっとこむ

MENU

転職支援サービス(人材紹介)業界の儲けのカラクリと正当性|転職エージェントが受け取る手数料相場

スポンサーリンク

f:id:ak6ark:20211031112224j:plain

 

内定提示年収の30%~35%。それが転職エージェントが採用企業から受け取る採用フィー(紹介料)です。計算してみてください。年収500万円の人で150~180万円、年収800万円の人で240~280万円にもなる高額な紹介料です。求職者自身は人材紹介会社の利用が無料でも、人材紹介会社のエージェントは採用企業からフィーを受け取っています。

 

「え!?そんなにとってるの!?」と感じたあなた。「求職者を高額で売買してるみたい・・・」と感じたあなた。「まぁ、そんなもんでしょ!」と感じたあなた。

 

受け取り方は人それぞれですが、なぜそんなに高額な紹介料になるのかのカラクリを知ると、転職エージェントへの見方が変わるかもしれません。

 

 

今回は、そんな人材紹介業界の裏事情をご紹介したいと思います。それでは見て行きましょう。

 

転職エージェント「有料職業斡旋事業会社」とは

f:id:ak6ark:20211031112426g:plain

※画像引用元はコチラ

 

転職エージェントの法的立ち位置は、「転職エージェント」「人材紹介会社」というのは通称で、正式には「有料職業あっせん事業会社」という名称になります。

 

日本国において”職業あっせん”を事業として執り行って良いのは、厚生労働省管轄の職業安定所(ハローワーク)だけです。但し、国の職業安定をより一層図るため、厚生労働大臣が認めた民間会社に”職業あっせん事業”を委託することができるようになっています。それが「有料職業あっせん事業会社」というわけです。

 

公金(税金)で賄われるハローワークと違い、民間会社ですので、当然利益が出なければ事業を行うことはできません。そこで、職業あっせん事業の委託を受ける民間会社は、有料で事業を行って良いとする事業許可を【有料職業紹介事業許可】発行してもらいます。

 

※許認可には、厳しい会社の財務要件や活動拠点の施設要件、職業あっせんの経歴を持つ責任者選任などの基準があり、届け出をすれば誰しもが許認可をもらえるわけではありません。

 

つまり、有料職業紹介事業許可を保有して転職エージェントサービスを提供している会社は、お国からお墨付きをもらって活動している「職業あっせん事業会社」だということです。

 

 

転職エージェント「有料職業斡旋事業会社」の役割とは

転職エージェントの役割は、法的にはハローワークと同じです。『日本国における職業安定を促進する受給バランンス調整』という使命を持っています。要は、人を採用したい企業と仕事に就きたい求職者の“橋渡し”をすることで国の雇用情勢の健全化を担っているワケです。

 

しかしながら10,000社と言われる転職エージェント会社が、ただ単に求人探し・人探しをしてマッチングをしたところで、企業として生き残っていくことができるはずがありません。

 

各社は、得意分野に磨きをかけて専門性を高めたり、圧倒的な情報とスピードでマッチングをしていくなど、各社三様の差別化を図りながら、採用企業側のニーズに合い、求職者側ニーズに合う『ベストマッチング』を提供していく事で日々ビジネスを行っております。

 

転職支援サービス経由の転職と採用のメリット&デメリット

正直、転職支援サービス経由の転職はメリットが多いです。以下

 

サービス経由の転職:メリット
  • 無料で利用できる(法律上、求職者から金品を受け取る事業展開が禁止されています)
  • 企業が直接掲載している自社募集求人サイトからは得られない情報を手に入れられる 例)面接官の面接スタイル、選考基準の傾向、採用側の本音、社内の内情や雰囲気 等々
  • 有効な応募書類(履歴書・職務経歴書)の書き方アドバイス、ブラッシュアップをしてもらえる
  • 面接対策アドバイスをもらえる(他の候補者の過去の先行履歴情報から)
  • 待遇面や給与面など、適時採用企業側と交渉をしてくれる
  • 断るにしても企業側へ自分で断りを入れなくてもエージェントから意向を伝えてもらえる

などなど、内定獲得に向けた希望や要望・わがままに付き合ってくれる強力なパートナーとして利用できるのがメリットです。

 

サービス経由の転職:デメリット

採用決定した企業は転職エージェントに高い紹介料を払わなければならない為、紹介料に見合った人選をします。ピンポイントでこんな人材が欲しい!という求人が多くなり、ゆえに、

  • 『採用ハードルが直接応募より格段に上がる(そもそもの募集要項スペックが高くなる)』
  • 『迷ったら切る(採用か否かのボーダーライン上に居たら自社募集候補者より先に振り落とされる。)』

など、一歩踏み込んだハードルを越えないと内定獲得に至りません。そういったデメリットは付いて回ります。

 

転職支援サービスを通した採用企業のメリット・デメリット

転職支援サービスを通した採用企業のメリット・デメリットをご紹介致します。以下

 

サービスを通した採用企業のメリット
  • 採用決定まで何人でも無料で紹介を受け面接選考を実施できる。
  • 人事採用担当に負荷となる1次スクリーニング(応募対応や書類選考)を代行してくれるので負荷が軽減できる。
  • エージェントが企業側の採用傾向や求める人物像・求めるスペックを理解してミスマッチの少ない人材が紹介される。
  • エージェント面談により人柄・経歴・スキル・志向・マインドチェック等がすでに分かっている状態から面接できる。
  • 選考基準はもちろん、フィーに見合わないと判断したら即断で振り落とせる。

などなど、採用決定(内定)に向けて効率良くピンポイント人材採用活動が出来るというのがメリットです。

 

サービスを通した採用企業のデメリット

採用決定に至った場合に支払う転職エージェントへの採用フィー(紹介料)が高いというデメリットくらいなものです。つまり、高いコストをかけてでも優秀な人材を採用したい!と本気で考えている企業ほど、転職エージェントを利用する傾向にあります。

 

有料職業あっせん事業会社への紹介料は30~35%が相場

f:id:ak6ark:20211031113428j:plain

 

転職エージェントの活動の内訳を見てみると、採用フィーが30~35%になるカラクリが理解できます。簡単に言えば、企業に優秀な人材を紹介すれば採用フィーが30~35%貰える事になりますが、実はそう物事はトントン拍子では進まないのです。

 

以下は、求職者からの【応募を100%】として始めて、転職支援工程を通過した残数割合の相場で表記したものです。

 

※大手企業と中堅企業と中小零細企業の初動から終盤の工程通過率には差は有れど、最終工程通過率は、さほど差は出ないものです。※各工程の目減り分は、何らかの理由(本人起因・エージェント起因・採用企業起因)で次工程に進めない分です。

 

(転職支援工程)     (残割合)

求職者からの応募      100% 

エントリー初動対応     73% 

(本人辞退・基準を満たさない等で減少)

レジュメ要請        62% 

(要請未提出・本人辞退等で減少)

転職支援面談        54% 

(面談キャンセル・基準を満たさない等で減少)

求人案内          43% 

(マッチング困難・ミスマッチ等で減少)

求人エントリー       35% 

(案内求人の辞退・求人ミスマッチ等で減少)

正式推薦          31% 

(正式推薦後に本人辞退・他社決定等で減少)

先方の書類選考通過     17% 

(推薦した候補者の2人に1人は書類NG)

1次面接通過          12% 

(一次面接した候補者の3人に1人はNG)

2次面接通過          8%  

(2次面接した候補者の3人に1人はNG)

最終面接通過(内定)       5%  

(最終面接した候補者の3人に1人はNG)

内定承諾(入社決定)       3%  

(内定候補者の3人に1人は内定辞退)

★実入社★            2.4%   

(内定承諾した6人に5人は入社)

 

いかがでしょうか?転職エージェントに月間100名のエントリーがあっても、実入社に至るのは2~3名が実態なのです。驚きの裏情報ではないですか?それだけミスマッチの無い求人企業&求職者のご縁談は少ないという事です。

 

転職エージェント「有料職業斡旋事業会社」の正当性

転職エージェントは、この毎月2~3名の入社決定まで導くために、

・事務所を借り

・人を雇って求人企業の求人案件開拓

・人を雇って求職者の転職支援

・求職者を集めるために有料の求人広告に掲載

 

その他事業活動に必要な様々な経費を掛けてサービスを提供してるのです。求人開拓をするのに少なくとも2名、100名のエントリーを対応するのに少なくとも3名と考えると、小規模の転職エージェントで1ヶ月の費用は280~300万円は必要です。3名を入社決定に導けたとして、この300万円の経費をペイして、さらに利益を出すとなると、せめて350~400万円は毎月売上が必要になります。

 

★★★そこで採用フィー30~35%の登場です!★★★【年収400万円 ✕ 紹介フィー30% =120万円 ✕3名 =360万円】これで初めて事業が成り立つのです。

 

もちろん3名決定できない月があったり、7名決定できる月があるかもしれません。年収400万円提示を下回る人もいれば800万円の人もいます。そして入社してから売り上げが入ってくるまでに60日~90日かかります。

 

そんなリスクとリターンを背負ってサービス提供しているのが転職エージェントなのです。いかがでしょうか?30%のカラクリを理解すると納得感ありませんか?

 

 

まとめ

確かに1人当たりだけで紹介フィーを見ると、とても高いと感じるかもしれません。しかしながら当記事を読んでカラクリを知ったあなたは、それが高いわけはないという事がもうご理解されたことでしょう。転職エージェントを利用して転職をする方が、自力で転職活動をするより得られるメリット・デメリットが大きいこともご理解いただけたことと思います。

 

この記事は、業界の裏事情としてライティングしたものですが、この裏事情を求職者様も採用企業様もしっかりと知ることで、転職エージェントのサービス価値を正しく理解して正しく利用してもらいたい。そんな想いから包み隠さずOPENにした記事となりました。是非、転職エージェントをご利用の際は、この記事を思い出して、正しく理解し利用してもらいたいと思います。